日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(67)が巨額の役員報酬を開示しなかったとされる事件で、金融商品取引法違反罪の共犯に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)に対する被告人質問が14日、東京地裁であった。無罪を主張するケリー元役員は、最大のキーパーソンとして検察と司法取引した大沼敏明・元秘書室長の証言を次々否定した。
大沼氏の証人尋問は昨年に22回行われ、報酬の一部を開示を避けて支払う方法を検討した文書は「ケリーさんの指示で作成、修正した」と証言した。これに対してケリー元役員は、作成の指示は「覚えていない」、修正は「頼んだことはない」と反論した。
司法取引した元秘書室長 証言の信用性は
大沼氏は報酬の一部を退任後に顧問料などの名目で支払うことを約束した合意文書についても「ケリーさんには記載項目を相談し、ゴーンさんが署名した後の文書も見せた」と証言。ケリー元役員は「まったく見たことがない。大沼さんから文書について聞いたこともない」と強く否定した。
司法取引はうその供述で他人を陥れる恐れが指摘される制度。大沼氏は捜査や裁判での協力を約束する代わりに不起訴になっており、証言の信用性が大きな争点になっている。(金子和史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル